Interviewインタビュー

卒業生の声

かんなKANNA

PROFILE
・三重シューレ在籍期間(4年):中3~高3
・三重シューレで通信制高校卒業→専門学校

4年後・・・
ゲーム会社でデザイナーの
仕事してます

「もともと絵を描くことが好きで・・・」

INTERVIEW FROM ISHIYAMA TO KANNA

石山

かんなちゃんは、三重シューレを卒業して何年になりましたか?

かんな

専門学校に4年行って、今社会人2年目なので5年半くらいです。

石山

三重シューレを卒業してからの歩みをお話していただけますか?

かんな

コンピューターの専門学校に4年通って、そこでCGやデザインの勉強して、卒業してからはゲームを開発する会社のデザイナーとして働いてます。

石山

それは卒業するときにデザイナーとか、そういう方向でやっていきたいと思っていたわけですよね?

かんな

そうですね、もともと絵を描くのが好きだったので、そういうのを活かせることができたらいいかなと思って。

石山

三重シューレに中3で入会して、通信制高校の学習をしましたね。入会したときのこと覚えていますか?どんな気持ちでしたか?

かんな

本当に母に言われるがまま、ここ行ってみたらいいんじゃない?そうですかって感じで。何考えてたんだろうな、あまり記憶が、そんなに明るい感じじゃなかった。

石山

その時の自分と今の自分を比べてみて、どういう所が違うとか成長したと思いますか?

かんな

性格が明るくなったと言うと平たいですけど、だいぶ人とのコミュニケーションが取れるようになりました。考え方も変わってきたので、人としゃべるの嫌というか、怖かったところがありましたが、今はだいぶ社会で過ごせるようになりました。

「しゃべらなくていい・・・やっぱりどこかでしゃべりたい」

INTERVIEW FROM ISHIYAMA TO KANNA

石山

確かに入ってきたときのかんなちゃんの印象は、あまり人と積極的に話をするという感じではなかったし、そういうことに対して苦手とか怖いとか意識があったんですか?

かんな

そうですね、もともと入る前も入ってからもずっと、そんなに自分から話しかけることはなかったので、なんというか大縄跳びに入る瞬間ってすごく怖くて、入ったら割とすぐ調子よく跳び出すけど、入る瞬間がなかなかできなかった。

石山

なるほど、確かにそこにとても大きなハードルがあるんでしょうかね。しかも大縄跳びだったら一瞬だけど、その時間は実際何ヶ月とか何年とか長かったりしますよね。そのときの気持ちや記憶に残ってることはありますか?

かんな

当時はしゃべらなくていい、別に一人でも大丈夫と思ってたんですけど、やっぱりどこかではなんかしゃべりたいなとか、日によってはこういうことがあったら友達に言いたいなとかありました。

石山

そうだったんですね。しゃべらなければいけないじゃなくて、しゃべらなくてもOKだと、どちらかと言うと肯定的に捉えていて、ただ時には誰か声かけてほしいな、話して共有したいな…こんな感じだったんでしょうか。

かんな

そうですね、そういう時は、ああなんでしゃべれないのかなと思ってたんですけど。

石山

そこは、どのように自分で受け止めて成長してきたのですか?

かんな

三重シューレと高校を卒業して専門学校に入ると決まったときに、このままじゃだめだなと思って。三重シューレは自分からしゃべらなくても全然大丈夫な場だけど、専門学校や他の環境に行って、全部が全部それでいいわけではないなと思ったので、まず変わらなきゃいけないと。多分2個くらい変わろうと思って。
1個は三重シューレに行く日を増やそう、専門学校は週5日は行かなきゃいけないので慣らそう、高3の後の方は週何回か滞在時間短くてもいいので、とりあえず行って帰ってこようというのを頑張りました。
もう1個は、人としゃべる時にどうしたらいいかなと思って、今まで自分が中学校や三重シューレで人としゃべっているときのことを思い出すと、だいたいみんなが話しかけてくれる。そしてそこから話せていたので、みんなしゃべりかけてくれたんだ、というのに気が付いた。自分も話しかけなきゃって。かつ話しかける時は仏頂面で無表情でいるより、ちょっと笑ってた方がいいなと思ったので、自分から笑顔で話しかけられるようになろうって決めました。それを専門学校に入って決行した、入ってから一日一回はクラスの人とか知らない人としゃべろうと思って、がんばってました。

石山

そういうやり方は、誰かにアドバイスを受けたんですか?

かんな

読んだ本にあったような気がするんですけど。三重シューレにいるときに何かを見て、「そうそう、そうじゃん!」と思ったような気がするんですよ。

「好きなことを仕事に…楽しいのが一番いい」

INTERVIEW FROM ISHIYAMA TO KANNA

石山

人からアドバイスを受けたんじゃなくて、自分で探して見つけて、自分で決めてやった、という感じですかね。専門学校に行く前に、今やっているお仕事をイメージしていたということは、高校時代に思っていたんですね。

かんな

そうですね。高校のときは、ただただ絵が楽しくて描いてただけで、仕事と考え始めたのは、高3とか専門学校に入ってからです。

石山

三重シューレの卒業生や世の中の人たちを見て、好きなことを仕事にする人と、好きなことと仕事を分ける人、もしくはあまりそこにだわらない人がいると思うんですよ。
好きなことを仕事にするのは、それなりのリスクもあるし、けっこう大変だと思うんですけど、それをやっていこうと思った動機や思いは何ですか?

かんな

ああ、よくありますよね、好きなことを仕事にして逆に嫌いになっちゃったみたいな。私も聞いていたし、好きなことしかやりたくないわけじゃないですけど、普通に絵とかデザインとか関係ない仕事についた自分を想像したときに、普通にやだな、めっちゃ大変だろうなと思って、自分で計算してエクセル使うとか、営業回るとか得意じゃないなと。それだったら好きなことやってる方が楽って言うとあれですけど。楽しいのが一番いいですし。

石山

確かに好きでないことをやることの方が大変で。

かんな

難しい。

石山

今のお仕事はやっていて楽しいですか?

かんな

まあまあ楽しいです(笑)。仕事の内容がわからなくて、どうしようもないというのも全然ないので楽しい。ゲームの会社にいると周りの人も同じような趣味の人も多いので話も合いますし。

石山

かんなちゃんはゲームをやることも好きなんですね?

かんな

はい、すごくやるって感じじゃないですけど、話題のも買いますし。

石山

自分がデザインしたものがゲームになる、実際作品として完成するじゃないですか。そういうゲームしたときの喜びとか実感とかありますか?

かんな

まだ完成したものが世に出てるわけじゃないですけど、出来上がって私が描いたデザインがゲームの画面上になって、というときが一番すごく嬉しいです。「あ、ある!」「私の作ったやつが動いてる」って。ゲームを作ってると一番そういうのは楽しいですね。

石山

おもしろいですね。楽しいというのが仕事自体やっているときだけじゃなくて、後から見える形になってきているんですね。

かんな

そうですね。自分の手じゃない所で他の人がやって、どんどんできていくっていうのがおもしろいですね。

「三重シューレは…すごく気が楽…干渉することもされることもない」

INTERVIEW FROM ISHIYAMA TO KANNA

石山

自分が関わったものを第三者がやってるというのは嬉しいですね。クリエイティブな仕事ならではの楽しさかもしれないですね。かんなちゃんにとって三重シューレはどんな場所でしたか?

かんな

すごく気が楽でよかった、あれしろ、これしろとか無いですし、無理に干渉することも、されることもない感じがよかったですね。

石山

そういう場所は、そんなにないですよね。

かんな

学校で保健室登校みたいなのをしてた時、言われないですけど学校ではいろいろ考えちゃうし、昼休みは人がいるんですけど、三重シューレはみんな好き好きにやってるので、そういうのがいいですね。

石山

最後に、これからの社会がどんなふうになっていったらいいな、と思いますか?

かんな

もうちょっとみんな優しくなってくれたらいいかな、お互いに。さっきもそれぞれ好きなことやってるのがいいと言いましたけど、好きにやってることを許容してると思うんです。
でも意外と社会だと、けっこう個人主義的な。優しいと言うけどそうでもない、みんな自分のことばかりな気がするので。みんな大変だということを、ちょっとは思ってほしいな。学校行けないとか悩んでるのかなとか、ちょっとでも思ってくれるといいな。

石山

自分以外の周りにいる人の大変さとか、そういうのをわかるとか許容と言いましたけど、受け入れるとか認めるとか。

かんな

みんなちゃんと生きてる人間なので、頭ごなしにあいつはダメだみたいなことは言わないでほしいな。ちょっと仕事のあれが入ってますけど(笑)。

石山

命とか人格は否定しないでほしいです。

かんな

そうですね。

石山

そこは認めることが大前提である社会になってほしいなと思います。ありがとうございました。